ツイッターに書ききれないことを書くところ

ツイッターに書ききれないことを書きます

パーティーでなくなったiPhone7と、画面に現れた「容疑者」の意味について

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数日前の話になる。


僕たちのフラットで、退去するイタリア人のお別れパーティーがあった。フラットメイトであった僕と、ブラジル人の男性二人、ペルー人の女性一人も参加していた。友達の友達が呼ばれ、参加者は30人を超えていたと思う。ホームパーティーが終わり、僕と退去する彼、そして数人のイタリア人がそのままの流れでクラブに行くことになった。ほか三人のフラットメイトは残った。リスボン中心部へ出ていくために通りを歩いてタクシーを捕まえようというときに、電話が鳴った。

「フラットメイトのブラジル人のうち、片方の携帯がなくなった」、という話だった。

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フィクションの効用について(プラトンはNetflixを薦めるか?)

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年末久しぶりに実家に帰ったときに、本棚にプラトンの『国家』があったので読んでみた。主な形式としては、プラトンの師であるソクラテスが数人と対話しながら、ある単語についてその真に意味するところを追求しあうというものだ。たとえば"幸福"とは何ですか、"正義"とは何ですか、のように。そこからソクラテスが持論を展開していく。ただし、例えばサンデルの『これからの「正義」の話をしよう』のように、具体例や秩序だった理論が援用されていることはあまりなく、あくまでも抽象的な議論に終始している印象だった。

これは、古代のギリシア語というものがそもそも言語として未発達で、ひとつの単語に広すぎる意味が含まれていることにも拠っている。(たとえば、イギリスのプラトン研究者であるブラックによると、"嘘"と"存在しないもの"は古代のギリシアでは同じ表現をとる。したがって議論の組み立て方次第では"この世に嘘や虚偽は存在しえない"という結論を導くことが可能となってしまう)

こういったこともあって、プラトンを読むのはなかなか自分には骨が折れることで、正直よく分らない所も多かった。しかし、強く印象に残った部分があるので、今回はそれについて書きたいと思う。

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1/2なのかそうじゃないのか?

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昨日『Marginal Revolution』の『二人の子供問題』の記事和訳があがってきていた。ちょっと問題。

Q1. 僕には年下のきょうだいが2人居る。2人のうち年上の方は弟である。2人とも弟である確率は?
Q2. 僕には年下のきょうだいが2人居る。2人のうち少なくとも一人は弟である。2人とも弟である確率は?
Q3. 僕には年下のきょうだいが2人居る。2人のうち少なくとも一人は弟で、火曜日に生まれた。2人とも弟である確率は?
Q4. 僕には年下のきょうだいが2人居る。2人のうち少なくとも一人は弟で、"じゅげむ"という名前である。2人とも弟である確率は?
※男と女が生まれる確率はそれぞれ1/2、各曜日に生まれる確率はそれぞれ1/7とし、子供が"じゅげむ"という名前である確率は、えー、著しく低いとする。

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ルカ・モドリッチ、名は体を表す?

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ワールドカップのMVPがクロアチア代表のモドリッチに決まったようだ。しかしよく考えるとモドリッチっていう名前、可愛くないですか。クロアチア代表は"~ッチ"で終わる名前の選手が大半だ。そうでなくても、ベテランDFのチョルルカ(前回のワールドカップでは先発でセンターバックをしていた)とか、サイドバックのブルサリコ(ドラッグを売ってそうな顔をしている)とか、可愛い名前が多い気がして好きだ。あ、ぼくらのロブレンは別だ。

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『夜間飛行』と『インターステラー』、進歩と犠牲

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サン=テグジュペリの『夜間飛行』は、かつて航空機の夜間就航が危険で、一般的ではなかったころ、著者が自らのパイロットとしての経験を生かして執筆した作品である。

クリストファー・ノーラン監督の2014年公開の映画『インターステラー』は、終焉に向かいつつある地球から他の惑星への移住の可能性を模索するというストーリーだ。

最近触れたこのふたつの物語の共通点と、それらから感じられることを少しメモしておこうと思った。各作品の展開には触れていない。

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生活は続く、恥ずかしい文章も続く

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12月は一瞬で過ぎた。気づいたら月末かつ年末で、留学も終わりかけで、僕はフランクフルトからパリに向かう列車の中にいる。一度乗り換えがあって、寝過ごすとスイスまで飛ばされてしまうので寝ようにも眠れない。

2017年は僕にとって、その大部分を海外で過ごす年になった。留学を振り返って思うことは色々ある。その中でも、当たり前すぎるが最近大事に思えてきたことを書いて終わりにしようと思う。

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人種的マイノリティとしての留学と差別、あと星野源

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留学とは僕にとって、人種的にマイノリティになった初めての経験でもある。そこで人種、もしくは差別について考えたことがいくつかある。というわけで、一つのごくごく小さな出来事と、それについて考えたことを書いてみる。

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夏目漱石の前期三部作

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ここひと月くらい、夏目漱石の"前期三部作"と呼ばれるものを少しずつ読んできて、最近読了した。『三四郎』『それから』『門』の三つのことだ。留学中は青空文庫のありがたさが身に染みる。

今更のようだが、夏目漱石の文章は本当に凄い。僕の印象としては、人の動き、情景などの描写は短い文でテンポよく描かれている。基本的に語尾が"だった"、"した"の連続だから余計にそう感じるのだろうか。しかし登場人物、特に主人公が何かを考える部分は比較的長い文章で、カッコつけた言い回しがなされている。

それがとても良い。読みながらいくつかメモしていたのでちょっと貼ってみようと思う。

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