ツイッターに書ききれないことを書くところ

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鳩の喧嘩(嘴を相手の首にぐさぐさと刺し合う)について

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早起きしすぎる休日、というのがある。休日が楽しみで仕方がなかった、子供のころの感覚がふと体によみがえったのか。それともアルコールが入ったことで水分が足りなくなり、体が渇きを感じて目が覚めるのか。多分後者だが、ここでは前者だということにして話を進める。

そういう朝だった。僕は目を覚ますとまずオレンジジュースを飲み、空腹を感じたのでキッチンに向かった。ボロいコンロにマッチで火をつけ、パスタをゆでていると、小窓が切り取るベランダに鳩が二羽飛んできた。

 

パスタを全部浸すために、箸を使ってぐいぐいと湯の中に押し込みながら、ベランダの鳩を見ていた。しばらくあって、片方がもう片方の背中に乗っかった。彼らとしては誰かが窓からそれを覗いていようと気にも留めないのだろうが、こちらは子供のころの高揚感を楽しんでいる身だ。朝からやめてくれ。

そう思っていた矢先のことである。急にもう一羽、鳩が飛来してきて、もともといたうちの一羽と喧嘩を始めた。

一羽はベランダの手すりのあたりに留まって、心なしか不安げにそれを見ている。どう見ても雌をめぐる喧嘩だ。僕はそれまで鳩の喧嘩というものを見たことがなかったので、感心して眺めていた。お互いの首を巻き付けあうようにして、嘴を刺しあう。

しばらくして、もともといたほうの雄が逃げてしまった。勝負ありか。

 

ところが、である。雌が、敗れた雄の後を追いかけて姿を消してしまったのだ。それまで動物界の「異性への魅力」というものを、単純なものと見ていた自分を少し恥じた。鳩も鳩で、いろんな機微が積み重なった上に、目に見える営みというものがあるんだろう。そんな複雑な社会を持つのは人間だけだと思いこむことの傲慢さよ。

勝利したはずの鳩は、きょとんとしているように見えた。僕はそいつがちょっと不憫になって、しばらく眺めていた。しょうがないね、また頑張れ。しばらくしてそいつもどこかへ飛んでいき、僕は僕でまた人間社会にのそのそと戻っていった。

音楽:It Ain't Me Babe - Bob Dylan